この記事では、相互関税とは一体どういうものなのか、各国にとって災害レベルとも言われるこの相互関税が与える影響、日本はどうすればいいのかを徹底して分かりやすく、深堀していきます。
今後の日本経済や暮らしに関わる大切な話ですので、ぜひ最後までご覧ください。
はじめに
トランプ大統領が、ついに「相互関税」の導入を発表した。
すべての国・地域に一律10%の追加関税導入し、貿易赤字などの状況を踏まえて国・地域別に上乗せするというものだ。
日本には合計24%、中国には34%、EUには20%となる。
第二次大戦後の自由貿易体制の大きな転換点となり、中国やEUなど各国は反発。
貿易戦争の激化は避けられず、災害レベルといわれる世界経済への打撃は必至だ。
トランプ大統領が発表した相互関税のポイント
◆全ての国・地域に一律10%の関税を導入
◆日本には上乗せ分を加え、合計24%を課す
◆関税率は、中国に34%、欧州連合(EU)20%、韓国25%、インド26%。非課税障壁も導入
◆一律関税は5日、上乗せ分は9日に発動
◆自動車や鉄鋼など分野別に課す追加関税は相互関税の対象から外す
相互関税とは、
すべての国に対して同じ割合の関税をかけるというルール
です。
関税とは、別の国から買ってくるモノ(輸入品)に掛けられる税金であり、国内の農家やメーカーを保護することを目的にしています。
輸入品に関税が上乗せされると、関税の分だけ値段が高くなるので、価格の面で国内品が売れやすくなります。関税は、一般に「輸入品に課される税」として定義されているのです。
トランプ大統領は「アメリカが損をしている」と主張し、貿易の公平さを取り戻すためにこの相互関税制度を導入しました。
今回発表された制度では、アメリカに入ってくるすべての外国製品に一律10%の関税がかかります。
つまり、日本側からすれば、日本からアメリカに輸出する製品に高い関税がかかるということ。
さらに、日本や中国など一部の国には追加で関税が上乗せされる仕組みです。
これにより、アメリカに輸出していた日本の製品は関税の分が価格に上乗せされてしまうので高くなり、売れにくくなる可能性があります。
そのため、大変な事態が起こりつつあるのです。。。
✔ なぜ相互関税が発表されたのか?
一つに、トランプ大統領が国内の支持を集めるために、「外国に強く出る姿勢」を示す必要があったと見られています。
もう一つに、アメリカ国内の不満を背景に、政治的な目的で発表されたという見方もあるそうです。
トランプ氏が国内の製造業の保護に力を入れる背景には、労働者層が置かれている厳しい経済状況があります。一部の富裕層に富が集中する一方で、労働者の所得は伸び悩み、格差が拡大。自殺や、薬物の過剰摂取で亡くなる人が増えており、社会問題となっているのです。
つまり、こういうことです。
- アメリカでは「外国製品ばかりが得をしている」という不満が根強くある
- トランプ氏はこれまでにも何度も保護主義的な政策を取ってきた
- 輸入品に関税をかければ、国内産業が守られるとアピールできる
このように、今回の発表は経済の問題というよりも、政治的な戦略の一つとして行われた可能性が非常に高いのです。
相互関税 Q&A
では、もっと詳しく簡単にQ&Aで見ていきましょう。
トランプ大統領が日本に24%の「相互関税」を課すと発表しました。
Q 相互関税とは A 高い関税を課す貿易相手に対抗して米国も関税を引き上げるという政策です。
Q 米国の主張は A 日本が実質的に46%の関税をかけているため、釣り合うように高関税をかけると主張しています。2024年の対日貿易赤字の約684億㌦を材料に計算したとみられています。公式には24%の算出方法を明らかにしていません。
Q 実際の関税率は A すべての国からの輸入品について言えば、経済産業省によると日本の関税率の平均は3.9%で、3.3%の米国と大差はありません。
Q 導入の理由は A 米国はモノの貿易赤字が24年は1兆2千億㌦を超えました。トランプ氏は慢性的な赤字に強い危機意識を持ち、解消を目指しています。赤字の背景には、米国と貿易相手との不公平な関係があると考えています。
Q 不公平な関係とは A 米国は関税率を低く設定し輸入を受け入れやすくしているのに、他国は高いままだと訴えています。米国の輸出を阻む関税以外の非関税障壁も問題視しています。日本に関しては、米国の自動車の安全基準が認められておらず、米メーカーが十分に参入できていないと主張しています。欧州の付加価値税も輸出の妨げになると主張します。
引用:南日本新聞
相互関税の裏 ◇日本の本音は◇
トランプ大統領が、米国内の産業を守るために、思い切った政策に出たという見方も強い一方で、日本国内には、「想定を上回る内容」として激震が走っていると言います。
米国第一主義に対して、中国や欧州は報復を真っ向から表明し、自由貿易体制は崩壊の瀬戸際。日本を含む世界経済の混乱は必至となる予想。
トランプ大統領が相互関税の実施を発表するとき、裏側では、どんなことが起こっていたのか。見てみましょう。
裏側ではこんなことが起きていた。。。
◇強気◇
「これは、私たちの経済的独立宣言だ」トランプ大統領が、ホワイトハウスの庭園「ローズガーデン」に設けた檀上で、誇らしげに語った。
トランプ氏は、、米国よりも高水準に設定された相手国の関税率や、非関税障壁の結果だと持論を展開し、「これ以上耐えるつもりはない。」と強調した。
これに対し、中国商務省は、「断固として反対する」との声明を発表し、対抗措置を取ると言及。EUも「対抗する用意がある」とすかさず表明した。
◇理解不能◇
米国の関税を受け、日本の自動車大手幹部は、「影響を精査している。車内は混乱気味だ」と慌ただしい様子で話した。自動車への追加関税だけでなく、相互関税の影響も無視できないとして情報収集を急ぐ。
日本から米国向け輸出品は金額ベースで約3割を自動車が占め、半導体製造装置も上位だ。半導体分野では米国が主導し、日本やオランダが対中国の輸出規制で協力してきた。「ここまできて日本にも関税をかけるのは納得がいかない」と憤る・・・
トランプ氏は日本がコメに700%の関税を課していると主張。しかし、この数字は日本が20年前の国際交渉の際に、示したものが根拠とみられ、江藤拓農相は「理論的に計算してもそういう数字は出てこない。理解不能だ」と反論した。
◇影響計り知れず◇
「思っていたよりも厳しい。報復関税の応酬に発展して、新たな不確実性を生んでしまう」内閣府関係者は、世界経済への影響は計り知れないとみる。
米国での販売価格に関税分が上乗せされ、インフレを招けば、米国内の個人消費には重荷だ。世界経済をけん引する米経済にブレーキがかかえれば各国への波及は避けられない。
また、財務省幹部は「物価高が続く一方で、景気が減速するスタグフレーションの危機だ」と深刻な顔を見せた。
相互関税の発表で日本への影響は?
相互関税の発表により、日本の経済、特に輸出産業に大きな影響が出ると見られています。
関税が高くなれば、当然ながら日本製品の価格が上がり、アメリカで売れにくくなるからです。
つまり、こういうことです。
- 日本の主な輸出品である自動車や電子機器は価格競争が激しい
- 他の国の商品に比べて割高になれば、選ばれにくくなる
- 中小企業も多くがアメリカとの取引を行っており、連鎖的に影響を受ける
このように、相互関税は私たちの生活にも深く関係しているのです。
もっと詳しく見てみよう ~ 専門家の話 ~
トランプ大統領が発表した相互関税の導入と自動車の25%の追加関税発動で日本経済への打撃は避けられない。単純に計算しても、日本企業全体で関税対応に7兆円の負担がかかる。米国での売り上げも販売数量も確実に減るだろう。 不幸中の幸いだったのは、各国への一律関税だったことだ。日本だけが対象で他国がゼロだった場合は、欧州の高級車と日本車の値段が同じになるなど、より競争が激しくなるところだった。 現時点で日本に打てる手は少ない。米国に報復措置をすると、かえって狙われるだけなので、米国の気が変わるのを待つしかない。今回の措置で最終的に影響を受けるのは米国の消費者だ、米国でインフレが起き、政権支持率が下がるなどのタイミングを待ち、交渉するしかなさそうだ。 引用:みずほ証券 K氏
トランプ米政権が発表した相互関税は、日本や韓国などの同盟国に多くのストレスをかける。経済、地政学の両面で絶望的な賭けに出たと言え、良い結果にならない。同盟国との関係で主要な要素である多角的貿易体制から事実上、米国を孤立させたためだ。中国を利する一方、米国には悪影響しかない。商業面でも地政学的な面でも、他の国々は米国を避けて強調することになる。関税措置により、米経済のインフレは再加速する。事業の不確実性により、失業率が上昇し、景気後退につながる可能性がある。世界経済の成長率も貿易戦争の結果、大きく下押しされるだろう。 引用:米ピーターソン国際経済研究所 G氏
それでは、日本には、これがどう影響するのか。実際の状況も踏まえて具体的に考えていきます。
✔ 日本からの輸出が痛い
最近は「日本食」ブームもあって、コメなど農林水産物のアメリカへの輸出も右肩上がりに増えています。その流れに水を差す可能性も考えられます。何より大きいのは、3日午後に発動される「自動車への追加関税」による日本経済全体への影響が痛い。
もう一つは、一般の人たちの“消費マインド”の低下です。今後、景気の先行きへの懸念が市場で高まった場合、物を買うときのお財布のヒモが固くなる可能性があります。あるエコノミストは、日本のGDP(=国内総生産)が「マイナス成長になりうるくらい、インパクトの大きい発表だ」と驚きを隠しませんでした。
✔ 日常生活では、どう影響してくる?
相互関税が続けば、自動車業界や製造業に関わる人のお給料への打撃が考えられます。特に、日本には自動車産業に関わる人が人口の20人に1人、およそ560万人いるといいます。発動後、トヨタなど大手メーカーが輸出を控えた場合、その下請け、中小企業の経営にも直撃します。
ある自動車関連の中小企業の幹部は「日本として今、何も手を打っていない状況。どんどん日本が不利になる」と不安を打ち明けています。この追加関税の影響を抑えられるかどうか、政府の交渉力が問われることになります。
日本は国難(災害レベル級)を避けるにはどうすれば。。。【具体策】
このまま、何もしないと米国との相互関税により、日本国内で作ったモノが米国に売れないということになります。トランプ大統領は、米国内の現状を見たうえでの苦肉の策を投じました。では、日本は苦肉の策として、国難ともいえる今後の状況をどう打開していくべきなのか。
✔ 一つ確実に言えることは、
今までの国際情勢は通用しない
ということです。アメリカが世界のリーダーとして君臨した時代は終わり、世界は多極化しています。アメリカがリーダーの役割を果たし、国際システムを決定できる世界は変化しつつあるのです。
ある専門家によると、今後、日本も、アメリカか中国か、どちらかを選ぶ必要が出てくると言います。
トヨタがアメリカ寄り、ホンダが中国寄りみたいなことはありえません。経済や安全保障の面で協力し、自国の利益のためにアメリカに不利益をもたらさないようにする。重要なのは、世界がアメリカをサポートするシステムを作ることです。
日本が現状維持を望んでいますが、世界は多極化しており、現状維持のような選択肢は、すでにテーブルにはない。今の関係を変える覚悟があるのかないのか、どちらかを選ぶ必要があります。
近年、アメリカ人の考え方は、『世界をどう見るか』ではなく、『国内の状況をどう考えるか』に変化してきています。今は、何よりもまずアメリカ国民の生活を優先すべきだという考え方が強まっているのです。それだけ、今のアメリカに国際秩序を考える余裕がなくなっているのです。
✔ 日本の、特に企業が考えるべきこととして
競争力を維持するために戦略的な対策が求められます。特に、関税が引き上げられると、コストの増加を抑えなければならず、対策としてグローバル市場での新規開拓やサプライチェーンの最適化を意識することが大切です。価格競争力を維持するためにも、コスト削減や米国市場以外の取引強化、補助金等の活用に取り組んでいきましょう。
例えば以下の点です。
- サプライチェーンの多様化
- 製品分類と関税対策
- 貿易協定の活用
- リスク評価と市場変化への対応
- 地政学的リスクの監視
生産拠点を関税負担の少ない地域に移す、物流の効率化を図る、などの対策によってコストが削減できます。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることによって、AIを活用した需給予測や在庫管理の精度を向上させることも有効です。
✔ 関税対策として活用できる補助金・支援制度
日本の企業が輸出入に関して活用できる支援制度や補助金を詳しく解説します。
まず、日本貿易振興機構(ジェトロ)が提供する「新規輸出1万者支援プログラム」です。新たに輸出を始める企業を対象に、貿易の実務に関するオンライン講座や専門家からのアドバイス、海外見本市への出展支援などを行っています。

次に、農林水産物・食品輸出支援策は、食品の輸出に取り組む事業者が利用できる制度です。
- 補助金等
- 金融・税制
- 相談・情報提供・バイヤー紹介等
- 輸出におけるリスク管理等
他にも、日本商工会議所では、海外展開に使える補助金・支援事業を一覧化しています。
これらの支援制度や補助金を活用することで、企業は輸出入に伴うコストやリスクを軽減し、国際競争力を高めることが期待できるため、積極的に活用しましょう。
参照:
JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)
ものづくり補助金 公募要領(19次締切分)概要版
農林水産省ホームページ
日本商工会議所
相互関税は、相手国の高い関税に対して同水準の関税を掛けることで貿易の不均衡を是正する一方で、場合によっては報復関税を受けやすく、世界的な経済摩擦をも深刻化させかねません。今後、日本、特に日本企業はサプライチェーンの多角化や、物流コストの効率化など、様々な戦略を組み合わせることで対応していく必要があります。
そのため、政府の補助金・支援制度を活用すれば、関税コストを抑えながらも海外展開することが十分に可能です。とはいえ、関税が上がることで企業の利益に直結するため、最新の情報を常に把握し、適切な対策を取っていきましょう。
おわりに
相互関税とは一体どういうものなのか、各国にとって災害レベルとも言われるこの相互関税が与える影響、日本はどうすればいいのかを徹底して分かりやすく、深堀してきました。
経済災害ともいえる、今回のトランプ大統領の行った大胆な相互関税。
この記事を書いていて、最も感じたことは、アメリカに頼っている時代は終わりつつあるということです。アメリカも自国内に課題が山積していて、他国のことを考えている余裕がないということが今回の相互関税実施に至った最大の原因です。
まずは自国の経済を復活させたい、世界のリーダーに復活したい。そんな考えからなのでしょう。
石破総理が今後、どのように対処していくのかにも注目が集まっていますが、同盟国として日本は日本のとるべき行動を本気で考えないといけない時にきている、そう思いました。
今後の日本経済や暮らしに関わる大切な記事です。ご参考にしてください。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
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